大手キャリアの格安プラン
NTTドコモのahamoの発表以降、モバイル通信業界の低価格化に拍車がかかっています。各社の新サービスの内容を見てみると、これまでどおり大容量データ通信を提供するというサービスはありますが、20GBなどデータ量に制限を設けながら低価格を提供するサービスが増えています。
税込月額で3,000円以内を実現しているNTTドコモ、au、SoftBankの3大キャリアの格安プランを比較してみると、データ利用量は20GBと同じですが、通話料に大きな違いがあります。5分以内で問題ないのか、LINE電話だけで十分なのかなど、自分の利用シーンを考えてプランを検討する必要があります。
●大手キャリアの格安プラン
※特定の条件を満たすことで得られる特典やキャンペーンは加味していない金額です。
格安SIMの通話プラン
格安SIM業者も3大キャリアに対抗し、続々と格安プランを発表・提供を開始しています。
しかし、格安SIM各社が提供する”お得な通話サービス”の多くが専用アプリを使ったものや、電話をかける際にプレフィックス番号を付与するといったものになっていることを知っていますか?
安価な定額サービスは魅力ですが、プレフィックス番号をつけなかったり、折り返しの電話がアプリ経由ではなかったために料金が発生してしまうなど、知らずしらずの内に損をしてしまうかもしれないのです。
ここでは、専用アプリではない通話プランを提供している主な格安SIM各社の通話料金を紹介します。
●格安SIMのアプリではない通話プラン
無料分を超えた場合の通話料
ここで気づくのは、無料通話適用時間等を超えた場合の通話料金の違いです。大手キャリアも含め、22円/30秒になっていますが、日本通信、HIS Mobileは11円30秒と半額の設定になっています。
定額部分の条件も重要ですが、やむを得ず通話時間が伸びてしまうことがある人は定額サービスの対象外となる通話料も考慮に入れるようにしましょう。
格安SIMの通話料の仕組み
格安SIM各社(MVNO)はこれまでデータ通信の料金を下げることでユーザーを増やしてきました。しかし、音声通話の料金は下げることが難しく、通話についてはアプリに頼らざるを得なかったという背景があります。それは格安SIM会社が携帯電話会社(MNO)からネットワークを借りる際、データ通信と音声通話とで料金が決まる仕組みが違っているからでした。
データ通信については、多くのMVNOの場合、MNOとMVNOの機器を相互に「接続」して通信するため、その料金は電気通信事業法で定められる所定の算定式で毎年算出された「接続料」で決まる仕組みとなっています。
一方、音声通話はデータ通信とは異なり「卸役務」といってMNOのネットワークをそのまま借りているだけであることが多く、データ通信の接続料と異なり、音声の卸料金は毎年見直しが行われていなかったのが実情です。
●総務省の有識者会議「接続料の算定に関する研究会」第27回会合資料
しかし、MNOと同じ音声通話定額サービスを提供できないことに不満を抱いていた日本通信が2019年11月、総務大臣に対し、NTTドコモから卸提供を受ける音声通話サービスについて、電気通信事業法に基づく裁定を申請したのです。この裁定では「音声通話サービスの卸提供にかかる料金の見直し」と、NTTドコモが自社ユーザーに提供する「『かけ放題オプション』『5分通話無料オプション』に相当するプランの卸提供」を求めるものでした。
これに対して総務省は、かけ放題と5分通話無料オプションに相当するプランの卸提供は却下しつつも、NTTドコモに対して音声通話サービスの卸提供にかかる料金の見直しを促す裁定を行いました。
また、総務省は並行して2020年10月27日に「モバイル市場の公正な競争環境の整備に向けたアクション・プラン」を発表し、行政主導でMNOに音声卸料金の引き下げを求めていく方針を明確にしたのです。
そのため、今後は音声通話に関しても格安SIM業者が各社プランを出していける環境が整っていくことが期待されています。
●総務省「モバイル市場の公正な競争環境の整備に向けたアクション・プラン」2020年10月27日