MVNOって何?

MNO、MVNOの違い

MNO、MVNOという言葉を目にしたことはある人はいると思いますが、この2つの違いを知っている人は少ないのではないでしょうか。この違いを理解することで、通信業界の仕組みもわかるようになり、通信業者選びにもきっと役立ってきます。

まずはMNOから説明すると、「Mobile Network Operator」の略で、日本語では「移動体通信事業者」と訳されます。要は、自社で回線網を有する3大キャリア=NTTドコモ、au、SoftBankなどの事業者のことで、通信サービスを自社ブランドとして提供できる事業者のことです。

それに対してMVNOとは、「Mobile Virtual Network Operator」の略で、「Virtual(仮想)」という言葉が入っています。つまり、MNOと違って自社の回線網を持っておらず、サービスを提供するのにMNOの回線を借りている通信事業者のことを言います。いわゆる「格安SIM」サービスを提供している事業者のことです。

●MNO

自社で回線網を所有するNTTドコモ、au、SoftBankなどの事業者。

楽天モバイルも2020年4月より正式参入

●MVNO

MNOの回線を借りて格安SIMサービスを提供する事業者

 

なぜMVNOは誕生したの?

MNOの回線を借りているMVNOがなぜ登場したかというと、きっかけは1990年代にまでさかのぼります。大手キャリア以外に通信回線を持っている事業者がなかった当時、通信市場を独占していたのは当然、大手キャリアになります。しかし、1990年代後半から大手キャリアの独占状態が問題視されるようになり、通信設備を持っていない事業者でも通信サービスを提供できるようにするべきとの機運が高まりました。

そして、総務省が2000年に「次世代移動体通信システム上のビジネスモデルに関する研究会」(IMT-2000ビジネスモデル研究会)を設置、当時のiモードに代表される携帯電話のブラウザフォン・サービスのオープン化など、多様な通信サービスを展開できるようにモバイルネットワークを広く開放しようという議論が繰り広げられることになったのです。

具体的には、①ブラウザフォン関連技術仕様の共通化と開示、②インターネット接続事業者やポータル・ビジネスなどに対するオープン性、③個人情報やマーケティング情報などの取り扱いルールの確立、④多様なプレーヤが参画できる事業環境の整備の4点に着目し、各項目に対していくつかの方策が提言されました。

そして現在では、MVNOはなんと1,400社を超えています。契約数では1,000以下の小規模事業者が大半ですが、大手キャリアの独占状態が続いた通信業界になぜ小規模業者が参入できたのかというと、MVNEが関係しています。

 

MVNEが果たす役割

MVNEとは「Mobile Virtual Network Enabler」の略で、「Enabler」(後援者)とあるように、仮想移動体通信のサービス提供者のことです。MVNOの事業をサポートする裏方のような存在と言えます。このMVNEがどんな役割を果たしたのか?

MVNOの事業を開始するためには、まず通信回線を借りる必要があります。さらに端末を調達し、そのほか、契約やサポートのことなどさまざまな体制を整える必要があります。端末の調達だけを見ても、メーカーに対して数万単位の発注をしなければいけないなど、新規参入する小規模の事業者には高いハードルがありました。

それをサポートしたのがMVNEです。通信事業を開始するサポートを行うことができるだけあって、MVNEはかなりの大手です。つまり、MVNEはMVNOに対して、格安SIMサービスを提供するためのノウハウや通信サービスに関する総合的なサポートをしているのです。さらにMVNOのなかには、格安SIMのサービスを自社で展開しつつ、MVNEとして新しくMVNOに参入してくる事業者を支援しているところもあります。

主要なMVNEの会社は以下になります。

□IIJ(インターネットイニシアティブ)

□NTTコミュニケーションズ(OCN)

□日本通信

MVNOを選ぶにあたり、どんなサービスを受けることができるのかを知るために、どのMVNEを使っているかを調べてみてもいいでしょう。例えば、老舗のプロバイダ系MVNOである、ぷらら、@Nifty(NifMo)、ASAHIネットなどはOCNをMVNEとして使っていますし、イオンモバイルなどはIIJを使っています。楽天は競争環境に合わせてMVNEを乗り換えていました。NTTドコモのahamoに対抗したプランを即発表して話題になった日本通信をMVNEとしているのはHIS Mobileなどです。

 

MVNOが格安SIMを実現できる理由

MVNOは大手キャリアの回線を利用していますが、基地局の管理費などがかからない分、利用料金を安く抑えることができます。また、大手キャリアの複雑な料金プランとは異なり、MVNOはシンプルでわかりやすいプランが多く、人件費なども抑えています。さらに、販売・レンタルしているSIMも、音声通信SIMにするかデータ専用SIMにするか、電話のかけ放題やSMS利用サービスをつけるかつけないかなど、どんなサービスにするのかを決めることができ、無駄も排除しています。その分、コストも抑えられているのです。

 

MVNOのメリット

MVNOに乗り換えたからといって、電話番号が変わることはありません。090や080で始まる電話番号の引き継ぎ(MNP)が利用でき、さらに通信量など自分に合ったプランを選ぶことができます。そのため、必要なサービスを無駄なく選ぶことができるため、月々の料金を抑えることができるのです。

もちろん、キャリアメールは利用できなくなるといったデメリットはありますが、GmailやYahoo!メールなどのフリーメールサービスは利用することができます。かけ放題プランを利用できるところもありますので、大手キャリアにこだわることなく、自分にとって最適なプランを選ぶ際の選択肢として加えておくといいでしょう。